空を見上げて

なぜ虫歯や歯周病は薬だけでは治らないのか?

虫歯や歯周病は、一種の感染症です。感染症の場合、細菌検査をし、適切な抗生物質をしようすることにより治癒しますが、なぜ虫歯菌や歯周病菌は薬だけで治らないのでしょうか?

お口の中には、プカプカ浮いている細菌と歯にこびりついている細菌の2つがあります。プカプカ浮いている細菌には薬が効きます。
しかし、細菌は歯の表面でバイオフィルムという、細菌のコミュニティーを作っていると言われています。
このバイオフィルムというのは、お風呂やまな板のヌルヌルと同じもので、細菌が出すグリコカリックスというネバネバした液で守られています。このネバネバが曲者で、ほとんど薬を通しません。1万分の1しか通過しないとも言われています。
現在のところ、このバイオフィルムの中にいる細菌を倒すのは、機械的な排除しかありません。
IPMPというバイオフィルムを通過する溶媒が出てきたのですが、効果のほどはまだよくわかっていません。

だから、お口のなかの細菌を倒すのは、歯ブラシが一番なのです。
(ただ、一度バイオフィルムを破壊し、外に出てきた細菌には薬が効きますので、全く薬が無効というわけではありません。)


丹野歯科医院tannodentalp  at 11:47  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

あなたは虫歯タイプ?歯周病タイプ?

100人中40人は虫歯タイプで、残りの60人は歯周病タイプだと言われています。
虫歯タイプの人は、小さいころから虫歯が多く、大人になると神経がない歯が多くなり、ほとんど被せ物になっていたりするのですが、骨の吸収はあまり認められません。逆に、歯周病タイプの人は、あまり虫歯になった経験はなく、若いころは歯医者さんへ行った経験も少ないのですが、40代になったころから骨の吸収が顕著になり、歯茎が下がり、歯が動くようになり、グラグラになって抜かなければいけなくなってしまいます。

虫歯タイプの人は、う蝕活動性試験、唾液緩衝能試験、虫歯菌数などを検査し、3DSなどを用いて予防していくことが大切です。

歯周病タイプの人の中には凶悪な歯周病菌が感染している場合があり、それには精度の高い細菌検査(リアルタイムPCR法)をし、抗生物質を使っての治療も必要になってきます。

自分が虫歯タイプか歯周病タイプかを見極めて、それに合った治療法・予防法が重要となってきます。


虫歯タイプ

ほとんどの歯が神経をとって被せ物を被っています。 ただ、骨の吸収はほとんどありません。 神経を取った歯が、折れてしまって抜くことになります。

歯周病タイプ

虫歯経験はほとんどありませんが、骨が吸収し、歯が長くなり、位置以上を起こしています。 いつの間にか歯がグラグラしてきて、抜けてしまいます。







丹野歯科医院tannodentalp  at 21:01  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

噛む力のコントロール

 お口の中を家に喩えると、奥歯は柱、前歯は屋根、歯茎や骨は地盤となります。
地盤が固く、柱がしっかりし、屋根があってこそ家は成り立つのです。お口の中の家を保つためには、この地盤と柱と屋根がしっかり協調し、耐震強度を保っていなければなりません。
お口のなかの家を守るためには、噛む力のコントロールが大切なのです。

歯の平均寿命を見てみると、第一大臼歯、第二大臼歯が50歳前半ということで、一番短くなっています。もしも、歯を失う原因が細菌的要素だけならば、前歯から失われても良いはずなのですが、そうではありません。つまり、噛む力によるダメージでも、歯は失われるのです。

歯がどんどん失われていくと、最終的には上の歯と下の歯の噛み合う歯が交互になくなってしまう「すれちがい咬合」というものになってしまいます。上は奥歯だけ、下は前歯だけ残っているような状況です。
こうなってしまうと歯をうしなうスピードを緩めることは難しくなってしまいます。

噛む力の負担能力が一番高いのは、第一大臼歯といわれる歯です。次に第二大臼歯です。



しかし、噛む力の重心は、筋肉の付着位置により、第二大臼歯のやや後方あたりになっていることが多いようです。負担能力が弱い歯に強い力が加わりやすい環境になっているのです。外見上は掛かっている力は見えませんが、この時点での力のコントロールが大切です。

噛む力は2種類に分かれます。

1. 食事の時にかかる力
食事の時にかかる力は、軟らかい現代食の場合1Kgにも達しません。
ただ、明らかに偏りがあったり、スムーズな動きができないような形態の場合には、顎や筋肉に負担を強いる場合があります。この場合には適切な治療が必要です。


2. 歯軋りや食いしばりの時にかかる力
歯軋りや食いしばりの時にかかる力は、体重の約2倍と言われています。
体重50Kg以上の人で100Kgにもなるのです。この時にダメージを受けやすいのは、一番後ろの奥歯です。
負担が掛からないような治療が必要です。


歯軋りについて

歯軋りは、ほとんどの人がしているという研究結果があります。音がする人だけがたまたま気付いてもらえるだけで、程度の差こそあれ、全ての人がしていると言っても過言ではありません。皆していることですから、それほど恥ずかしがることではないのです。
歯軋りの原因は定かではありませんが、3歳のころまでにしている人は大人になってからもかなりの確率でしているという研究結果もあります。なぜ歯軋りをするのかというと、精神的なストレスコントロールをしているという説が一番有力かもしれません。ですから、歯軋り自体は身体にとって大切な行為であり、止めなくてはならないわけではないのです。
しかし、歯科医療にとっては、歯軋りは大きな敵です。歯を喪失するスピードを早めかねません。
歯にとって有害な力というのは、歯を横に倒すように働く力です。奥歯に対して真っ直ぐに働く力の許容度を100とすると、横に倒れる力には3くらいしか耐えられません。歯軋りは、体重の2倍の力が横向きに働くので、奥歯にとってはたまったものではありません。適切なかみ合わせのコントロールが大切です。

食いしばりについて

食いしばりは、寝ている時にも起きている時にも、ほとんどの人が無意識にしている行為です。歯軋りと同じで体重の2倍の力がかかりますから、知らず知らずのうちに歯にダメージを与えてしまっています。
奥歯の寿命が短い一つの要因です。特に一番後ろの奥歯には強大な力が加わってしまいます。
食いしばりは、歯にとって悪いだけではなく、顎関節や頭の筋肉にも負担をかけてしまいます。食いしばりシンドロームと言って、無意識に強く食いしばっている、常に歯と歯が触れている、歯と歯は触れていないが筋肉が収縮している状態というのは、健全な状態ではなく、顎関節症や緊張型頭痛、肩こり、知覚過敏、奥歯の痛みなどの原因にもなってしまっています。適切な治療が大切です。

歯軋り・食いしばり対策

1. 歯軋り、食いしばりに対する理解
2. ナイトガードによるストレスコントロール
3. 自己暗示療法、認知・行動療法による歯軋り・食いしばりの抑制
4. かみ合わせの調節による歯にかかる力のコントロール
5. 奥歯を守る前歯の構築


丹野歯科医院tannodentalp  at 00:27  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

細菌のコントロール

歯を失う原因は、虫歯46%、歯周病46%で半々です。つまりこの2つの細菌感染症だけ気をつけていれば歯を失わずにすみます。細菌のコントロールが大切なのです。

人は、胎児の時には無菌状態ですが、産道を通過してから、死ぬまで細菌による攻撃に常にさらされてしまいます。

人間の細胞は約60兆個なのですが、腸内細菌だけで100兆匹、口の中や他の部分を足すとどれだけ細菌が感染しているのかわかりません。

殺人事件などで、死体をそのままにしておくと、異臭をはなつようになるのは、それまで、免疫システムにより常に細菌からの攻撃を防いでいた体が、死ぬことにより一斉に細菌の攻撃を受けタンパク質が分解されてしまうからです。
ドライアイス等で冷やしておくと、細菌の活動を抑えられます。

口の中も例外ではなく、虫歯菌は歯が生えてきたときから感染し始めます。
細菌は無の状態からいきなり出現するわけではないので、誰かの口の中の細菌が感染することになります。そのほとんどがお母さんの口移しによる食事による感染だと言われています。
1歳〜2歳半までの間に、お母さんがキシリトールガムを噛んでいることにより、子供の虫歯の感染率が10分の1になるという研究もあります。



細菌も放っておいたら、ただ口の中をプカプカ浮いてくれていれば良いのですが、放っておくとなぜか人間の体内に侵入しようとします。虫歯菌は歯を溶かして、神経の穴に入り、根の先の骨のなかへ、歯周病菌は歯と歯茎の隙間から、歯茎の内部に侵入し体の中へ入ろうとします。油断も隙もありません。

ただ、細菌はハチのように強い毒素を持っているわけではないですし、大きさも1mmの1000分の1程度です。一部の細菌を除き、口の中の細菌は弱いのです。
歯に穴を開けるという行為も、人が素手で富士山にトンネルを掘るようなとんでもない話なのです。
ですから、大量に、長時間、同じ場所に細菌を停滞させなければ、歯を溶かすという行為も完結できないのです。

細菌の時間と人間の時間は違います。細菌は早いもので10分に1回分裂しますから、30分でひ孫まで生まれます。
人間がひ孫まで生まれるには早くと60年かかります。
ですから、人間が1日細菌をほったらかしにしておくのと細菌の世界では、3000年経っていることになります。毎日毎日歯を磨いて細菌の数をコントロールしていかなければならないのはこのためです。

毎日歯医者さんでプロフェッショナルクリーニングを受ければ、虫歯や歯周病にならない可能性は高いのですが、それは現実的ではありません。
1ヶ月に1回歯医者さんにプロフェッショナルクリーニングを受けたとしても、365日中12回、残りの350日はほったらかしになってしまいます。

つまり、日ごろの自分でのセルフコントロールの質を高めていかなければ、歯医者さんにどんなに来ようとも、虫歯や歯周病になってしまう確率は高いのです。

歯周病は、日本人の成人の8割が罹患している病気です。
痛みを伴わずに歯の周りの骨が失われてしまいます。歯周病の原因は長年議論の的でしたが、近年では、口のなかの500種類の細菌のうち、歯周病菌は10種類、その中で最も凶悪な歯周病菌が4種類いることがわかってきています。
今までは、その歯周病菌を正確に検査する方法はなかったのですが、近年リアルタイムPCR法という、高精度の検査法が身近で出来るようになりました。いままでのように、ただ闇雲に全ての人が同じ治療法を行う時代から、細菌を検査し、それに応じたオーダーメイドの治療をする時代になったのです。

歯科疾患のほとんどが細菌が原因なわけです。
健康に生きていくためには、細菌のコントロールは必要不可欠なのです。


丹野歯科医院tannodentalp  at 12:10  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

治療の限界

歯医者さんのやっていることのほとんどは、感染して腐ってしまった歯を取り除き、残った健全な歯を利用して、再建していくことです。ですから、健康な部分がほとんどなかったり、感染を取り除けないような状態になってしまうと歯医者さんもお手上げです。
もし治療ができたとしても、すぐに駄目になってしまう可能性大です。

被せたり、削ってしまった歯は、もとの完全な歯に比べると弱くなってしまっています。
再治療も5回が限度だといわれています。

1回目:噛む面の虫歯


2回目:歯と歯の間の虫歯


3回目:歯とかぶせ物の間から虫歯


4回目:神経の治療


5回目:神経の治療のやり直し


6回目:抜歯




抜歯の後も、その歯の隣の歯を削ってブリッジ→ブリッジの力の負担がかかる方の歯が駄目になり抜歯→残っている歯に金具をひっかけて部分入れ歯→部分入れ歯がかかっている歯がグラグラしてきて抜歯→入れ歯を支えている歯からどんどん抜けていき最後は総入れ歯ということになってしまいます。

歯をささえる骨も一部の条件の良い場合を除き、骨の高さを再生することはできません。
歯を支えている骨が根の3分の1以下になってしまうと、感染を除去しても、長い間の噛む力には耐えられなくなってしまいます。


日本人は世界に比べ、神経のない歯が多いそうです。
神経のない歯は、神経のある歯に比べて歯の破折、再感染による抜歯の可能性がかなり高くなります。

削って詰める治療の繰り返しでは、やはり限界があるのです。

なるべく治療をしていない健全な歯を、予防していき、再治療の悪い流れを断ち切って行くことが大切なのです。



1. 虫歯
虫歯が大きく、神経まで虫歯菌が進入し、強い自発痛がでているようですと、 神経を取らなくてはならない場合が多いようです。
ただ現在は、3Mix法により神経を保存できるケースが増えてきています。


2. 神経のない歯(細菌感染)
根の先に細菌が侵入してしまっている場合、2回目以降の治癒率は7割弱です。
病巣のある場合は、先ずは歯の内部から治療し、それでも駄目なら歯根端切除術という手術で治します。従来型の手術では成功率65%程度でしたが、マイクロスコープ下で手術をすることにより95%まで成功率を向上させることができました。
それでも100%ではないので、1回目の治療や病巣が小さいうちにしっかり治療することが大切です。


3. 神経のない歯(耐久性)
神経のない歯は枯れ木のような状態になってしまい、神経のある歯と比べて、耐久性がなくなってしまっています。
時間が経つと縦にヒビが入ってしまうこともあり、割れてしまったら抜くしかありません。
歯が割れにくい土台を絶てることと、なるべく神経を取らないようにすることが大切です。


4. 神経のない歯(挿し歯)
神経のない歯に土台を入れて、歯を被せることを挿し歯といいます。
ただこの挿し歯もどんな状態でも治療できるわけではなく、治療に限界があります。
理想的には、歯の壁が根っこの3分の2以上あり、骨より3mm以上上に健全な歯の部分があることが重要です。歯茎より下まで虫歯があったり、骨より上に2mm程度しか歯がない場合には、治療の長期的な予後は見込めないため、本来は外科手術や矯正による引っ張り出しが必要です。
骨の保存や、周囲の歯への影響を考えると抜いてしまう場合もあります。


5. 歯周病の歯(骨の量)
歯の周りの骨がなくなってしまう病気です。
本来根の3分の2以上を骨が覆っているのですが、根を覆っている骨が3分の1以下になってくると、歯の保存は難しくなってきます。
炎症は治っても、噛む力に耐えられなくなってしまうからです。骨の保存や、周囲の歯への影響を考えると抜いてしまう場合もあります。


6. 歯周病の歯(根の股の間の骨の吸収)
奥歯の歯の根っこは2〜3本に分かれています。
そこのところまで骨の吸収が     あると歯の保存が難しくなってしまいます。ある程度までの吸収なら再生療法などで治るのですが、向こう側まで抜けるような吸収がある場合には、長期的に歯を残せる方法は現在のところないようです。
歯を2つに割ったり、半分だけ抜く方法も、よっぽど条件が良くないと長期的な予後は見込めないようです。


7. 歯の動揺
1歯が揺れているパターンは、前後、左右、上下の3パターンあります。
歯に力が加わりすぎて一時的に動いている場合には、力をコントロールしてあげれば良いのですが、上下に動く場合などは歯の周りの靭帯が崩壊している場合が多く、抜歯の対象となります。


8. 歯並び
1歯並びが悪く、衛生管理をしずらい場合には抜歯の対象となる場合もあります。
歯は多ければ多いほど良いわけではなく、きちんと管理できないような状況の歯は、結果的に周りを巻き込んで虫歯や歯周病になってしまう場合が多いため、抜いてしまう場合があります。
1本の歯はもちろん大切ですが、お口の中全体の機能を守るほうが大切なのは言うまでもありません。



丹野歯科医院tannodentalp  at 23:59  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

被せ物はどれくらい持つのか?

被せ物はどれくらい持つのか?という質問は日本では良くある質問です。
それとは対照的にアメリカでは、どれくらい持つかということよりも、どれくらいの機能を回復できるのかに関心があるそうです。
ですから、被せ物を取れないように恐る恐る使う日本人に比べ、回復した歯で美味しい物を食べて思う存分人生を楽しもうとするのがアメリカ人のようです。



話はそれましたが、でも確かにせっかく治療した歯がすぐに取れたり、ぐらぐらしてしまったりしたら誰でも嫌ですよね。なるべく長く使いたいというのが心情です。

ただ、前述したように、被せ物は歯医者さんが、失ってしまって、回復できない歯を高精度に再建しようとしたものです。どこまで行っても結果に対する後始末なのです。

歯が高精度な被せ物により回復された場合、それを長く持たせられるかどうかは、本当は患者さん自身の努力次第なのです。
どんなに精密に作った被せ物でも、もとの全く治療していない歯よりは弱い存在なのです。
被せ物を入れたら虫歯になりづらくなったわけではないのです。ですから、虫歯にしてしまったのと同じ環境のままでは、より早いペースで悪くなってしまうのは明白です。

たとえば、健康な歯がどれだけ持つのかと聞かれれば、患者さんのケア次第と答えるか、歯の統計的な平均寿命を答えるかしかありません。
どの状態で持ったと言えるのかを定めるのも難しく、被せ物がとれなければ成功なのかといえばそうではなく、被せ物がとれていないが横から虫歯になってしまったもの、被せ物は取れたが歯は新たに虫歯にはなっておらず同じ条件で治療をやり直せるもの、のどちらを持ったということにするのかという設定で被せ物が持つという基準が大幅に変わります。
とても難しい質問なのです。

岡山大学の予防歯科講座の調べによると、50%の被せ物が駄目になる年数は、プラスチックの詰め物、金属の詰め物で5年、金属の被せ物で7年、ブリッジで8年という統計データが得られたそうです。
ただ、これはその歯の状態やお口の中の条件が違うものを合わせたものの平均ですので、すべてがすべてこの年数で駄目になっているというわけではありません。
同じ条件の被せ物が入っても、噛む力が強かったり、細菌のコントロールが悪い人は平均より先に駄目になりますし、噛む力が弱かったり、細菌のコントロールが良好な人は一生持ったりもします。

身長160cmの人と身長180cmの人の平均が170cmだからと言って、両者が170cmの服で大丈夫かと言えばそうではないのです。
同じ車でも、ハードユーザーとソフトユーザーでは、故障の回数も、使用できる年数も大きく変わってくるのと同じです。車は新しいものに買い換えれば良いのですが、歯はそうは行きません。
一生増やせない貯金ならば、なるべくなくならないように節約していくのが、賢いやり方ではないでしょうか。



詰め物・被せ物が悪くなるのは、使用した金属が駄目になるわけではありません。
それを支えている歯のほうに問題が生じてくるのです。なるべく支えている歯が悪くならないような環境にしてあげることが大切です。

つまるところ歯がどれくらい持つかというのは、歯医者サイドの治療の精度と患者さんサイドの環境改善の両者が必要不可欠なのです。


丹野歯科医院tannodentalp  at 23:42  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

詰め物・被せ物の価値

歯以外の治療は、悪いところを治して体が治癒しやすい環境にしてあげるだけで完全治癒することがありますが、歯科に関しては現在のところ歯を完全に再生させる技術がないため、原因を取り除いた後に何かで補わなければなりません。それが歯の詰め物や被せものなのです。

被せ物を被せることによって、失われてしまった歯の物理的な回復、細菌の進入経路の遮断、かみ合わせ機能の改善、見た目の回復がなされます。それを約100分の1mmの精度で歯と適合し、100分の3mmの精度でかみ合わせを調節するといった極めて精密なものです。



そんなに精度をあげなくても、患者さん本人には自覚症状はでないのですが、そうしないと、被せものと歯の間から再度虫歯になったり、歯が揺れてきて抜かなくてはならない状況になってしまいます。

被せ物や詰め物はただの金属の塊ではありません。自分の体の失われてしまった臓器を高精度で回復してくれる人工臓器なのです。
自分の体を構成するパーツですから、詰め物・被せ物の種類を選ぶ時には、メリット・デメリットを良く考えた上で慎重に選択したほうが良いでしょう。

歯は一度悪くしてしまったら完全には回復しませんが、可及的に良い状態に回復しておくことが大切です。

歯は同じ歯の治療を5回繰り返すと抜かなければならない状態になってしまうといわれています。もちろん再治療のほうが最初の治療よりも、条件が悪くなり、治療も複雑化し、早めに悪くなる可能性が高くなります。

現状でのより良い状態に回復し、それを2度と再発しないように予防していくことこそが、お口の健康を長く保ち、一生自分の歯で噛むための最善の策なのです。





丹野歯科医院tannodentalp  at 23:07  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

歯科医療の治療費

歯科の治療費は高いということが言われることがありますが、果たしてそれは 本当なのでしょうか?諸外国と比較してみましょう。

アメリカの専門医の治療費を100とした場合。


アメリカの一般医の治療費:77.2%


日本の自費治療費:70%


スウェーデンの治療費:47.1%


日本の保険治療の治療費:8%


つまり同じ治療をしても日本の保険治療の場合、アメリカ専門医の10分の1以下、スウェーデンの6分の1以下です。アメリカやスウェーデンのような高度な治療をしようとした場合、日本で保険内では厳しいというのが現状です。
日本の保険の総入れ歯は片顎で2万3千円ですが、スイスでは平均27万円だそうです。
スイスの歯科医師に2万3千円で入れ歯を作れるか?という質問をすると「絶対に無理」という答えが返ってきたそうです。



ファミレスで、高級レストランの味を求めること、ビジネスホテルでリッツカールトンのようなサービスを求めることが無理なように、日本の健康保険制度の範囲内のみで、最高の治療を行うのはちょっと無理がありそうです。
(ただ、歯科医師としての使命感で、保険内の治療でもできるだけ良い治療をしようと日本の歯科医師も頑張っております。)

歯医者の私としては、高価な車やバックを所持するよりも、白く輝く歯を持っていた方が、何かとお得なような気がするのですが皆様はどうでしょうか?


丹野歯科医院tannodentalp  at 00:10  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

日本の歯科医療の現状

8020運動ってご存知ですか?

日本歯科医師会が行っている80歳で20本の歯を残して、健康で良く噛める人生をおくりましょうという運動です。

親知らずを除くと、歯は28本あります。
日本の80歳での平均歯数は5〜7本です。8020にはまだまだです。
ただこれが世界的に見てどうかというと、決してよい結果とはいえません。
予防歯科先進国であるスウェーデンでは80歳で20本をすでに達成しています。
アメリカ、オーストラリア、オランダでも15本以上あり、8020達成は時間の問題と言われています。



これは、人種の違いではなく、歯を取り巻く環境の違いなのです。
同じアジアでもタイは、日本よりも良い結果を残しています。

国民健康保険制度は、どうしても治療中心で、予防の要素は少ないものとなっています。
どんな人でも、ある一定基準以上の治療を享受できるというメリットもあるのですが、それ以上の歯の健康を望む人にとっては、限界があります。
国の財政を考えると、新たに保険導入される可能性は期待できません。
(アメリカなどでは、神経をとって、挿し歯にするための費用が払えない場合、歯を抜いてしまうという現状もあるようです。)

「自分のお口の健康は、自分で守る!予防は最善の治療!」という意識改革が、歯科医療従事者、患者さんサイドの双方で起これば、8020も夢ではありません。

8020達成度予測

グループ1 既に達成している国 スウェーデン
グループ2 70歳で15本以上残存 アメリカ・オランダ オーストラリア 2015年
グループ3 70歳10〜15本残存 タイ・フランス・イギリス 2025年
グループ4 70歳で10本以下 イタリア・ポーランド ドイツ・スイス 2035年
60歳以上で極端に減る国 日本 2040年
グループ5 平均寿命が上がるにつれ残存歯数が減る国 インドネシア・カンボジア


予防歯科

丹野歯科医院tannodentalp  at 00:14  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

原因の治療と結果の治療

物事には必ず原因があって結果があります。
原因がないのに結果だけが起こってしまったということは絶対にないのです。

歯に穴があいてしまったから、削って詰めた。


被せものがとれてしまったから、削って型をとって新しい被せ物を被せた。


歯がグラグラしてきたので、接着剤で動きを止めた。


これらはすべて結果に対しての後始末であり、原因を改善しているわけではありません。
「柱をねずみに齧られたから、柱を修理した。」というのと同じです。 つまり、いくら柱を修理しても、ねずみの問題を解決しなければずっと同じことを繰り返してしまうのです。

ねずみを追い払ってから、柱を修理すれば、ねずみが戻ってこない限り同じ問題は起こらないのです。
(追い払う他にも色々な方法がありますが・・・・。猫を飼う、ねずみをしつける、柱を金属にするetc.)

つまり、虫歯になってしまった原因は何か?を追求し、それを改善していかなければ、 せっかくの治療もすべて無駄になってしまいます。

何度も何度も治療をしているのに、歯がどんどん悪くなってしまったなんて人はいませんか?



被せ物をした歯は、虫歯を放置している歯よりは強いのですが、虫歯になる前の歯に比べると弱くなってしまっています。今まで以上にその歯をとりまく環境を改善してあげないと、より早く虫歯になってしまうのは明白です。

原因と結果両方を治して初めて長期的な健康が保てるのです。

秋吉

丹野歯科医院tannodentalp  at 21:28  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

一時的な治療と歯を長持ちさせる治療の違い

当分の間、「見た目を綺麗にする。」 「よく噛めるようにする。」 「痛みを止める。」治療はあまり難しいものではありません。
早く見た目を綺麗にするには、歯を抜いたり、神経をとったりして、歯を細く削り、型を取って、被せれば良いわけですから、急げば2回で終わります。ただそれと、歯を長持ちさせているかという問題は別です。
よく噛めるようにするのも、入れ歯や被せ物を作ればよいのですから、それほど難しい問題ではありません。ただ、これも歯を長持ちさせているかという問題とは別です。
痛みをとめるのにも、鎮痛剤を飲んでもらったり、神経をとってしまえば解決するのですが、歯を長持ちさせているかどうかとは別です。

見た目が綺麗でも、よく噛める被せものを入れても、そのことで歯茎の健康を損ねていたり、細菌が感染しやすい環境だったりすると歯はまた駄目になってしまいます。

つまり、見た目が良い、よく噛める治療とお口の中の健康を長く保つ治療とは全く別なのです。

骨や歯茎の健康を守り、歯の健康を守った上での、見た目が良く、痛くなく、よく噛める治療ではないと、かえって歯を早期に喪失してしまう可能性が高くなってしまいます。



歯茎の健康や被せ物と歯との適合状態などは患者様自身では、あまり認識しづらいのですが、そこを精密にやるのが歯科医師の使命です。

どうしても「早い!安い!痛くない!」という治療が望まれがちですが、本当にしっかりとした治療というのは「ある程度時間がかかり、ある程度費用がかかり、ある程度痛みを伴うもの」なのです。もちろん可及的に「早く、安価で、無痛」にする努力も怠ってはいけません。

歯茎が腫れていても、根の先に細菌が侵入していても、歯と被せものがあまり合っていなくても、よく噛めて、見た目が良くて、痛くなければ、自分自身ではあまり気づきません。歯を消耗品とし考えるのならそれでも大丈夫なのですが、できるだけ自分の歯を長く使っていきたいと考えるなら悪くなる前に改善しなくてはなりません。

早く、安く、痛くなく治療した歯が、結果的に早期に抜かなければならなくなってしまったというのは、非常にもったいない話です。

受付

丹野歯科医院tannodentalp  at 01:19  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

家が火事です!あなたならどうしますか?

1. だまって見ている。

2. 燃えた柱や屋根を修理する。

3. 先ず火を消そうとする。

もちろん3.ですよね。
消火しないまま、柱や屋根を修理してもまた燃えてしまいます。
一度火を消してから、じっくり修理すれば良いのです。

口の中は、家の構造と同じで、奥歯は家を支える柱で、前歯は家の屋根にあたるのです。

柱が壊れてしまうと、家は傾いてしまいますし、地震がきたらひとたまりもありません。屋根がないと柱も駄目になってしまいます。

歯は親知らずを除くと28本あります。
その28本がそれぞれ違った役割をして、お口のなか全体で機能しているのです。

1本歯を失っても、食事の際にはあまり違和感はないかもしれませんが、お口の中では大きな崩壊の第一歩が始まってしまっているのです。

歯が沢山あるうちから、お口の中の崩壊の流れを防いであげることが大切です。


スタッフ写真

丹野歯科医院tannodentalp  at 00:21  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

予防歯科を始めましょう!

皆さん、8020運動ってご存知ですか?

日本歯科医師会が推奨する80歳で20本の歯を残そうという運動です。

しかし、現在の日本人の80歳の歯の平均本数は約7本しかないのです。それに反してスウェーデンなどの予防歯科先進国ではすでに8020を達成しています。その差はどこからくるのでしょうか?人種の違いでしょうか?いやそうではありません。それは、歯科医療を取り巻く国民の習慣の違いなのです。

ニューヨークのサラリーマンの9割は1年のうち1回以上は必ずメインテナンスのために歯科医院を訪れるそうです。日本では、痛くなければ歯科医院へ訪れない人がほとんどのようです。欧米の人に「なぜメインテンスに歯科医院へ行くのか?」と訊ねるとそれは常識だからと答えるそうです。日本人が毎日入浴するように、欧米の人は歯医者さんに予防にいくのです。

虫歯も歯周病も、歯や骨が大きく再生するような画期的な治療は今のところ存在しません。つまり放っておくと減る一方なのです。金属を詰めても治ったわけではないし、虫歯にならないわけではないのです。ですから、一生自分の歯を使っていくためには、虫歯や歯周病の原因である細菌のコントロールが大切なのです。原因がなければ結果は起こりません!

どんなカリスマ美容師でも自分の髪を完璧に切ることなどできません。どんなに器用な歯医者さんでも自分だけで自分の虫歯を防げるとは思っていません。わたしも夜は20分くらい歯を磨いていますが、奥歯と奥歯の間の部分はちゃんと磨けているかどうか自信がありません。

大人になってから虫歯になってしまう場所は大体決まっています。それは、奥歯の歯と歯の間です。なぜならそこは歯ブラシでは除菌が難しいところだからなのです。つまり歯ブラシが当たっている部分は除菌できていますが、当たっていない部分は磨いていないのと同じことなのです。そして奥歯を1本失ったところから、ドミノ倒しのようにお口の崩壊が始まるのです。

フロスや歯間ブラシを駆使して100点満点の歯磨きをすれば、虫歯や歯周病にはならないのですが、それはとても難しいことです。日本人の生活スタイルには合わないのかもしれません。ですから普段は70〜80点くらいの歯磨きを目指していって、残りの20〜30点を歯科医院でメインテナンスしていくことが現実的な虫歯・歯周病予防なのです。

現在ちゃんと奥歯がある人でも50までには数本失ってしまう人がほとんどです。
好んで入れ歯をしている人はいません。虫歯や歯周病は、定期的に細菌をコントロールすることによって防げる病気なのです。痛みがでるのは、病態がかなり悪化している証拠です。痛くなってから歯医者さんへ行くのでは、ほとんどの人が入れ歯になってしまうのです。痛くなる前に、定期的なプロの除菌が大切です!

今からでも遅くはありません。予防歯科を始めましょう!
kiyotauchida

丹野歯科医院tannodentalp  at 01:26  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ!